サブリース業者は、サブリース契約のメリットをセールストークにして、土地所有者に自社または関連建設会社のアパート建設を促すビジネスモデルを構築し、1992年の生産緑地法改正で「農地の宅地並み課税」が導入されると、土地の有効活用や相続税対策とも相まって、アパート建設大手4社(大東建託、レオパレス21、積水ハウス、大和ハウス工業)の受注高が大きく拡大していきました。
ところが、その一角を占めるレオパレス21とサブリース契約を結ぶアパートオーナーが、大幅な賃料減額や突然の解約を突きつけられるトラブルが相次ぎました。これらの事例からは、たとえ30年一括借上げの契約を結んでも将来リスクを抑制できないという、サブリース契約の「落とし穴」が浮き彫りになりました。
(「サブリース問題の発端とリスク」より https://leo.sltcc.info/391/)
サブリース契約の「落とし穴」
アパートやマンション経営でサブリース契約を結んでいる方も多いと思います。サブリース業者にアパートやマンションを一括借上げしてもらうので、たとえ空室でも家賃収入の心配が不要であったり、管理の手間も省け手軽に不動産の賃貸経営ができます。
その反面、サブリース契約でローンの返済を上回る収入が続いてくれれば、問題は表面化しませんが、ある日突然、サブリースの賃料を減額するよう迫られたとき、真っ先に考えるのはローンの返済が出来るかどうかの心配です。
契約内容の確認
サブリース契約を解除する場合について、契約書を確認されると解りますが、サブリース業者に非常に都合の良い契約であることが理解できると思います。
恐らく、解除については事前にきちんと説明を受けて分かっている方は多くは無いと思います。或は知っていてもサブリース契約に魅力を感じていて、解除する必要はないと考えていたかもしれません。
借地借家法で保護されるサブリース業者
賃料減額や契約解除に関して強気な交渉を行なえるのは、サブリース業者がアパートオーナーとの関係において借地借家法で保護されているためです。
不動産の賃貸借契約を規定している借地借家法は、契約上の弱者である賃借人の保護が立法趣旨。同法32条1項は賃借人に「賃料減額請求権」を認めており、これは強行規定でもあり、一連の最高裁判決では、サブリース契約が不動産賃貸借契約である以上、同法32条1項が適用されるとの判断が示されています。
サブリース業者から一方的な解除
「なんのための30年一括借上げなのか」。家賃の大幅減額と契約解除を天秤にかけられたアパートオーナーからは、こうした疑問の声があがります。サブリース契約では、賃料見直しの協議で合意できなければ契約が終了する条項や、一定期間経過ごとの修繕に応じない場合には契約を更新しない条項など、サブリース業者側から容易に契約を解除できる条項が目立ちます。
保証賃料減額リスク
最初は30年間、一括借り上げ保証するということで、当分賃貸経営の悩みから解放されると思いきや、実は、保証賃料の見直しは2年ごととかに行われ、「このままの家賃では厳しい」という交渉が入るようになります。
周辺相場と比較してあきらかに高いということなら納得せざるを得ない場合もありますが、「会社の経営が厳しいから協力してほしい」というような納得しがたい理由で交渉される場合もあるようです。
中途解約リスク
さらにそれを渋ってると、今度は一方的に中途解約の申し出が来るケースもあります。実は30年借り上げ保証となっていても、契約書上は中途解約できる内容になっているのです。
実際に、サブリースを途中で切られて、その後に空室が増えて困っている、何とか空室を解消したいというご相談が多数寄せられます。
安泰と思っていたアパートやマンション経営が賃料の減額によって狂いが生じてしまえば人生の一大事です。
それは、賃料の減額によってアパートやマンションの購入や建設時に借入れたローンの返済が追いつかなくなってしまった時です。
賃料の減額に応じなければサブリース業者は簡単に契約を解除することもできます。その解除の言葉に、今まで任せっきりにしてきた管理業務が自分にできるか? 又は、その様な時間的余裕があるのか? 不安になりアパート・マンション経営の厳しさを突きつけられた瞬間となってしまいます。
それでは、サブリース業者に賃料の減額を迫られ、ローンの返済が追いつかない事が確実な場合、どうすればいいのでしょうか?
賃料の減額でローンが払えないときの対処
賃料の減額によってローンが払えない緊急事態となることが想定されるとき、オーナーとしての対処は以下の3つに限られます。
- 給与収入・他の収益物件や預貯金から返済に回す
- サブリース業者からの減額に応じない
- 売却を検討する
1給与収入・他の収益物件や預貯金から返済に回す
アパート・マンション経営が成り立っていないことは明白で、何を目的に不動産投資を始めたのか考える必要があります。
2サブリース業者からの減額に応じない
サブリース業者の求めに応じなければ、サブリース契約を解除されてしまうでしょう。その場合、入居中の賃貸人もサブリース業者が退去させてしまう場合やサブリース業者が転貸している賃借人に対して地位を継承する場合もあります。
3売却を検討する
仮にサブリース業者の求めに応じても、サブリースの賃料収入でアパートやマンションの購入や建設資金のローンが払えなければ、もはや不動産投資は失敗とあきらめ、売却しようと考える方もいます。
サブリース契約が足かせ
実はサブリース契約が足かせとなり、売却が一筋縄では進められない現実に直面します。それは、売却の際には現在のサブリース契約をどうするか?という問題が発生するからです。
サブリース契約は先に記載したようにサブリース業者からは容易に解除できますが、オーナー側からは簡単には解除できない理不尽な契約です。そのため、売却を希望した場合、購入者がサブリース契約を引き継ぐ条件だと、余程の好条件でなければ敬遠されがちです。
不動産の投資物件で好条件となれば、いわば高利回りの物件であり、その分価格に反映されるため高値での売却は、ほぼ困難となります。
購入時から債務超過(オーバーローン)
最近特に問題となっているのがサブリース問題に加え、売却してもローンが完済できないオーバーローンのアパートやマンションが増えていることです。アパートやマンションのローンが重荷となっている状況で、担保のアパートやマンションを売却しても、すべて返済できなければ売りたくても売れない状況です。
しかし、ローンが払えないとなれば金融機関も黙って見過ごす事も出来ません。強制的に不動産を処分する、競売の申立てへと進む場合や不良債権としてサービサーへ債権譲渡してしまう事態も想定できます。
「任意売却」で売却を検討する
アパートやマンションのローンが払えなくなり、オーナーが決断すれば、売却価格が担保割れするようなケースでも売却可能な方法があります。これを「任意売却」と言いますが、その際には金融機関やサブリース業者との事前交渉が必要で時間も要しますので、可能な限り早急に相談しなければ競売で処分されかねない状況となります。
なお、サブリースの契約をしている投資用不動産を「任意売却」する場合、様々な手続きや交渉が必要になります。不動産ADRを通しての「任意売却」は有効的です。
今後の返済について、金融機関と直接交渉したい
ある意味、オーナーと金融機関とは、対立関係にあります。
オーナーにとって一番いい状況を希望されるのなら、どちらの立場も把握した第三者である不動産ADR(日本不動産仲裁機構)に調停してもらうことお勧めします。
金融機関説得には交渉力が必要
任意売却を行なう上で一番重要なのは「確実に売却できる適正な価格設定」で債権者の同意を得ることです。そこで専門家のアドバイスが重要になってくるのです。
一般社団法人日本不動産仲裁機構(法務大臣認証裁判外紛争処理機関)の、主管専門委員であるNPO法人日本住宅性能検査協会は弁護士・司法書士・不動産鑑定士・一級建築士等の専門家集団です。任意売却後に残った債務の返済方法や圧縮方法についてもアドバイスができます。不良債権処理に詳しい専門家が揃っていますので、交渉を有利に進めることも可能です。
債務整理と特定調停
金融機関との合意内容を記載した調停合意書(和解契約書)を作成し、裁判所を介します。
特定調停で作成される調停調書には判決と同じ効力があります。
特定調停法の正式名称は「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」といい、平成12年2月に施行されました。
不動産ADR<日本不動産仲裁機構(法務大臣認証裁判外紛争処理機関)>での調停をご利用下さい。https://jha-adr.org/
詳しくはご相談ください。
順序 | 起きること | 滞納からの期間 |
1 | 銀行からの支払い請求 | 1~2ヵ月 |
2 | 督促状・催告書が届く | ~3ヵ月 |
3 | 期限の利益喪失通知・代位弁済通知 | ~6ヵ月 |
4 | 競売開始決定通知・執行官の訪問 | ~10ヵ月 |
5 | 入札期間通知書が届く | ~14ヵ月 |
6 | 開札 | ~16ヵ月 |
7 | 引き渡し命令(立ち退き) | 落札されてから2ヵ月 |
「期限の利益喪失通知」のタイミングで、分割による返済ができなくなります(※一括請求)。